前回論じたようにフィリピン社会は極めて強い母性原理に根差した社会であると思われます。


ここまで書いてハタと気付きました。(また河合氏も指摘しています)
!(◎_◎;)


今現在のフィリピンの社会問題もこの「母性原理」という事をキーワードに理解できるのではないだろうかと思うのです。


⭐️まずフィリピン人には基本的に「投資」という概念がありません!

・将来のことを考えてお金を貯めておくこと

・うまくいかなかったときのことを考えて準備をしていくということ

・ある案件に投資してリターンを追求する(起業する)


そういった考えがかなり希薄です。

河合氏は強い母性社会特有の生き方として「あきらめ」という事をあげています。


これはつまり悪いことが起こってから考えればいいというような姿勢です。

確かにフィリピンにはバハラナ(bahalana)という便利な言葉があります

「その時はその時で、まぁ何とかなるさ」

というところでしょうか?


投資という行為は本質的に将来の果実を得るために行われることなので、フィリピン人には馴染まないのでしょう!


⭐️政治家の汚職問題

有名な話ですが、フィリピンの政治は汚職にまみれています。
国民も実態を知っていますが、とどまるところがありません。

しかし実際のところこれも母性社会ゆえの病理ではないでしょうか?


僕が見聞きしたなかでも、いわゆる「顔を利かせる」「都合をつける」といった話があたかも美談のように語られる場面がありました。


当時は「そこは隠すところではないか?」
と思ったものですが、


ウタン・ナ・ロオブ(utang na loob)
「内なる借金」「心の借り」


ヒヤ(hiya)


といった感情が背景にあるとすれば、合点がいきます!(逆にしない人は排除される)


フィリピン人社会では滅多に孤独を感じる事はありません。なぜなら


★パキキサマ(pakikisama)

「深い友愛の情・・・個人同士の間の尊敬と助け合い」


によってフィリピン人は強く結びつけられているからです。

しかしあらゆる事には裏と表があり、そこに当然、悪も存在します

ヽ(´o`;


その4に続く


参考文献 河合隼雄 「中空構造日本の深層」